ども、しーつんです。
タイトルの通りなんですが私のゲーム兼仕事用メインPCにはGALAX HOFシリーズの10周年記念に発売されたRTX2080Ti HOF 10th AE(GK-RTX2080Ti-HOF 10th AE)(メーカー製品ページ)というグラフィックボードが積まれています。
目次
超性能な白いグラフィックボード「RTX2080Ti HOF 10th AE」
所謂RTX2080Tiのオーバークロックモデル。しかもこのRTX2080Ti HOF 10th AEはオーバークロックの競技向けに設計されているHOFシリーズです。オーバークロック耐性の高い専用設計の真っ白な基板に超選別チップが積まれています。
まぁ私は空冷予定で性能はそこまで拘りが無く白い自作PCを組む為にただただ白いRTX2080Tiが欲しくて購入したのですが窒息気味なケースを使用している事もあってかこいつが中々ゲーム中に熱を持ちます。
そして何を隠そうこのRTX2080Ti HOF 10th AEには本格水冷用の水枕が標準で組み込まれているんです。勿論、空冷そのままでも利用出来ますし本格水冷化したいと思ったらそのまま水冷ループに組み込むだけで本格水冷化が叶うというハイブリッド仕様。

素人目で見ると本格水冷化後はファンによる空冷と水冷によるダブルの冷却で純粋な本格水冷用水枕よりも冷えそうな気さえします。(多分気がするだけです)

ただこのウォーターヘッド。水冷化したい!と思ったら気軽に水冷化出来てお得感はあるものの空冷だとポツンとグラフィックボード本体から出っ張っていてかなり不格好です。(特に縦置き時)
このウォーターヘッドを除いた見た目はかなりかっこいいんですけどね~。
余談ですが前面真ん中のファン周辺、上部「GEFORCE RTX」ロゴ、背面バックパネルの10thHOFロゴはRGBLED内臓でHOF AIを利用する事で好きな色・発光パターンで光らせる事が可能。(背面10thHOFロゴは白固定?)


撮影の為にHOF AIで色々制御を試してみましたが何故か背面のロゴは白固定でした。 元々白固定なんですかね? 私は普段白単色で利用しているので原因は良く分かりません。
レインボーはかなり綺麗に発色しますが白単色はファン周りのLEDが薄っすらピンクっぽい白になるのであまり綺麗ではないです。ちょっと残念。
こういう光物って同じ色に設定しても物によって発色が全然違くて色を合わせるのは大変ですよね~。
どうせなら水冷化したい!
で、このオーバークロックの競技向けに設計されたRTX2080Ti HOF 10th AE。空冷使用予定で購入したものの空冷のままだとイマイチ格好も付かないし、結構熱持つし、オーバークロックもしたいし、別途水枕を買う必要もないし、本格水冷にも興味はある。
だったら本格水冷化しちゃおうかな?と考えた訳です。
メインPCの本格水冷化を計画してからは自分なりに本格水冷についてかなり調べてパーツを買い集めました。
PC水冷における電蝕
水漏れなんかのリスクは当然なのですがその調べた中で特に注意すべきだと感じたのが「電蝕」です。
私も取ってつけ程度の知識しかないので引用多めで。間違えてたらごめんなさい。電蝕について詳しく知りたい方はご自身で調べて欲しいのですが、PCの本格水冷化における電蝕とは「異なる金属(異種金属)の水冷パーツ同士が冷却水を通して電気的に接触した際に発生する可能性のある腐食」を指します。
電蝕現象とは、2種類以上の金属製パーツが電解液(電気を通す液体)中にある時に特定の金属が腐食していく現象。水冷PCの場合、まず冷却液が濁り、更に電蝕が進行すると、腐食した部品から剥がれ落ちた金属片による流路の詰まり、穴あきによる水漏れ等を誘発する。
WaterCoolingPC@Wiki
要は複数の種類の金属で水冷ループを組んだ場合は金属が腐食する可能性があるという事ですね~。
電蝕が発生すると腐食した金属が冷却水に溶け出して腐食による水漏れリスクの増加や冷却水に青色のゲルが発生する「青水現象」、経路やポンプ、水枕内のマイクロフィンなどを詰まらせる可能性があるようです。
最悪水冷ループ一式+水漏れによりPC本体がオシャカになります。
電蝕の原理
基本的な原理は小学校で学ぶレモン電池と基本的に変わらない。亜鉛板と銅板をレモン(レモン果汁が電解液)に挿すと豆電球を点ける程度の電流が流れる。この時にイオン化(酸化)しやすい亜鉛が負極となり、イオン化して電解液中に溶け出していく。
水冷PC製品によく使われる金属では、「アルミ>>亜鉛>ニッケル>銅」といった順にイオン化しやすく、このイオン化傾向(イオン化のしやすさ)の差が大きい組み合わせ程、反応が大きく腐食も早い。
特に、ラジエーター等に使われている事の多いアルミは非常にイオン化傾向が大きく、電蝕によって食われやすい。CPUヘッド等によく使われる銅とは、イオン化傾向の差が大きいので相性がかなり悪く、この組み合わせでは電蝕に十分な注意が必要となる。
WaterCoolingPC@Wiki
全て同一の金属で水冷ループを組めば電蝕は発生しない。という事になる訳ですがそう簡単な話でもありません。
何故なら現在販売されている水冷パーツは
CPUやGPU等を冷やす水冷ブロックはほぼ銅(ニッケルメッキ含む)
水冷パーツや配管を繋ぐためのフィッティング類は真鍮(銅と亜鉛の合金)が多い
冷却水を冷やす為のラジエーターはアルミor銅
となっています。
本格水冷の要である水冷ブロックがほぼ銅製である以上は必然的に同一金属で水冷ループを組もうと思ったら銅ループになります。ラジエーターにはアルミ製と銅製があるので銅製を選べば良い(全銅製、full copperと明記がある物が無難)ですが、上にある通りフィッティング類は殆どがメッキ処理された真鍮製です。
ただし亜鉛と銅の合金である真鍮と銅はイオン化傾向の差がかなり小さく、一般的なPC水冷用のクーラント(冷却水)はある程度の絶縁抵抗を持ち、多少の電蝕であれば防いでくれる成分になっている為、そういったPC水冷用のクーラントを使用していれば特に問題は無いとされています。水冷パーツにはニッケルメッキが施されているパーツも多いですが、ニッケルは真鍮以上に銅とのイオン化傾向の差が小さい為銅製ループに組み込んで問題ありません。
つまり一般的な本格水冷ループで使用される銅製ループとは「銅・真鍮・ニッケル(メッキ)」の混在環境となります。
そして水冷パーツにおける厄介な金属がアルミです。
アルミは軽量で放熱性が高く加工もし易い優秀な金属ではありますが、水冷ループに組み込むとなると話は別。水冷パーツで使用される金属の中でイオン化傾向が最も高く、イオン化傾向の低い銅と組み合わせた場合はかなりの高確率で電蝕が発生します。
(銅部分(イオン化傾向の低い部分)よりアルミ部分(イオン化傾向の高い部分)が多ければ電蝕は発生しづらいとも言われていますが推奨はされません。)
市販されている本格水冷キットなんかには銅製水枕にアルミラジエーターがセットになっているなど危険な物もあるので注意が必要です。
有名どころだと低価格で新製品をバンバン打ち出すThermaltakeというメーカーが銅水枕にアルミラジエーターがセットになっている本格水冷キットを販売しています。(同メーカーから銅製ラジエーターのセットも販売されているので購入の際は要確認)
やたら長くなってしまいましたがPCで水冷組む時はアルミに要注意!って話です。特にラジエーターは未だにアルミ製の物が多く販売されています。
因みに本格水冷よりよっぽど利用者の多い簡易水冷はほぼ銅枕にアルミラジエーターです。バラしたら電蝕でボロボロだったなんてのはよくある話。(中には銅ラジを採用している簡易水冷製品もあります。)
RTX2080Ti HOF 10th AEの水枕は何製?
そんなこんなでPCの本格水冷について調べたりパーツを集めたりしてる内にふと一つの疑問が浮かびました。やっと本題です。

お前は一体なんなんだ?
そういう事です。各販売サイト・メーカー製品ページに水枕の材質までは記載が無く、国内は勿論、海外サイトまで調べまくりましたが全くこのRTX2080Ti HOF 10th AEに備わっている水枕の材質が出てきません。
ぱっと見では明らかにメッキ処理はされておらず、色合い的にステンレスかアルミか可能性としては真鍮も・・・? 銅の可能性が極めて低いことは確かです。
磁石に近づけてみたりもしましたが、キャップ部分は磁石にくっつき、水枕本体は磁石にくっつきませんでした。(材質が違うのかな?)
勿論、販売元の玄人志向(CFD販売)のサポートへも問い合わせました。
「GK-RTX2080Ti-HOF 10th AEに搭載されている水枕の材質が知りたいです。
銅製の水冷ループに使用した際、電蝕が発生する可能性はありますか?
よろしくお願いします。」
数日後に返信がありました。

>〇〇様
>この度は、玄人志向メールサポートをご利用頂き
>誠にありがとうございます。
>お問い合わせの件について、ご回答させていただきます。
>GK-RTX2080Ti-HOF 10th AE の水冷ユニットについて
>製品の提供元であるGALAXY社に確認をいたしましたところ
>「アルミ製」との回答がございました。
>確認に時間がかかってしまい、
>大変申し訳ございませんでした。
>ご不明な点がございます際には、
>本メールにご返信くださいますよう、
>お願い申し上げます。
>今後とも弊社製品をご愛顧賜りますよう
>よろしくお願い申し上げます。
嘘やろ・・・。
「回答ありがとうございます。クーラント液にアルミ部分が接触するという見解でよろしかったでしょうか? 」

>〇〇様
>お世話になっております。
>玄人志向メールサポートです。
>お問合せの通り、ご利用の場合に
>アルミ部分に接触する状態となります。
>水冷でのご利用につきましては上記ご確認の上、
>ご利用のご検討をお願いいたします。
>以上、よろしくお願いいたします。
そりゃそうだよね。
玄人志向のサポート様にはしっかりとしたご返答が頂けて感謝しています。
正直何故ここまでの製品を作って水枕の部分をアルミ製としたのか私にはよく分かりません。昔ならばアルミ製の水枕というのも少なからずあったみたいですが、今では冷却性能や電蝕を考慮して多くが銅製となっているそうです。
私は購入当時、水冷の予定は無かった(水冷の知識すら無かった)ので後からアルミ製だと知っても「なら別途水冷ブロックを買わなくちゃな」というぐらいですが、知らずに水冷目的で購入して使って電蝕したら目も当てられません。
水冷対応を謳う超高額商品なんだからここは銅製にしておいて欲しかった。
せめて製品ページくらいにはアルミ製ならアルミ製と明記して欲しかったものです。空水冷ハイブリッドとは一体なんだったのか。
そんな感じで別途RTX2080Ti HOF 10th AEの水冷ブロックを購入する事にしました。
RTX2080Ti HOF 10th AE用の水冷ブロックを買う
本格水冷化に向けてRTX2080Ti HOF 10th AE用の水冷ブロックを買わなければなりません。というか見た目に惚れて買ったのに結局何もかも取っ払う事になるなんて我ながらアホすぎます。じゃあ水冷やめればいいじゃんって話なんですがもう各種パーツも揃ってますし本格水冷化したくて仕方がないのでどうしようもないです。
で、水冷ブロックを探す訳ですがこれがまた曲者です。
なんといってもRTX2080Ti HOF 10th AEはスーパー仕様のオリジナルHOF基板。 水冷ブロックも当然専用の物が必要になります。
軽く調べたところ以前、RTX 2080Ti HOF OC Lab Editionという専用の水枕が付属したRTX2080Ti HOFが限定的に販売されていたそうですが水枕単体の販売は無く、物の流通も皆無で断念。

う~んかっこいい。
しばらく探してみたところRTX2080Ti HOF 10th AE対応の明記こそ無いもののRTX2080Ti HOFオリジナル基板用のフルカバー水冷ブロック2つのメーカーが製品を出していました。
どちらもPCの本格水冷パーツで有名な海外メーカーで、個人的な信頼性は抜群です。RTX2080Ti HOF 10th AE対応という明記が無いのは少し不安ですが、調べてみた感じRTX2080Ti HOFシリーズの基板はほぼ同一っぽかったのでまぁ大丈夫だろうという事で見た目が好みな「Bitspower Lotan VGA water block for GALAX Geforce RTX 2080 Ti HOF」を購入する事に。
残念な事に国内に在庫は無く、安心と信頼の海外PCパーツ通販のPPCsにも在庫は無く、わずかな望みを抱いてBitspowerの公式通販サイトを覗いてみたら在庫ありました。
値段:TWD 6,150.00(約22,300円)
送料:TWD 1,210.00(約4,400円)
痛い出費です。今思えば一緒にフィッティング類も買ってBitspowerで統一すれば良かったです。送料勿体ない。
海外通販って発送すら遅いところがかなり多いので注文後数時間で発送されたのにはビックリしました。到着も早かったのでまた利用したいです。
Bitspower Lotan VGA water block for GALAX Geforce RTX 2080 Ti HOF 開封レビュー

注文から1週間かかったかからないかくらいで到着。めちゃくちゃ早くて有難いです。梱包もガッチリでいい感じ。

箱もシンプルでかっこいいですね~。潰れ等もなく状態は良好です。
箱を開けると中には真空パックされた水冷ブロック本体が。自作PC沼にハマってから結構な数のPCパーツを購入してきましたがPCパーツが真空パックされているのは初体験です。最初から本体側にサーマルシートが貼ってあったのでそれの保護の為っぽいですね。
とにかく高級感があってかっこいい外観です。完璧に期待通り。

小さい袋には付属のネジ類と六角レンチが。

そういえばbitspowerで水枕注文したらラリってる人形ついてきた pic.twitter.com/ugYzvSzNxt
— しーつん (@ctunnd) January 19, 2020
何故かおまけで謎のぬいぐるみが付いてきました。多分Bitspowerのロゴにも使われてるドラゴンのキャラクターかな?一応ぬいぐるみのタブにもBitspowerのロゴが入っていたので公式の物だとは思います。

最初は
なんだこの全然可愛くないぬいぐるみ・・・。
って思ったんですけど今は気に入ってアイコンにまでしてます。ありがとうございます。
俄然Bitspower製品を集めたくなってしまいました。こんな簡単な商売戦略にハマるなんて
細かい傷こそあるものの全体的に質感は良いです。後ヘッド部分にBitspowerのキャップが2つ標準で付いてました。地味にうれしいです。

写真だと分かりづらいですが、GPUブロックを冷やす部分は冷却効率を高めるマイクロフィン構造。良く冷えそうです。

ただ少し残念だったのが透明の水路部分。商品画像だと完全な透明なのですが実物は少し曇った感じでした。
海外通販だとやり取りするのも面倒なのでここは我慢します。

本体はかなり重くてどのくらい重いのか気になったので重量を計ってみました。
結果は約1.3kg。ほぼ金属の塊みたいなものなのでかなり重いですね。

ついでに取り付ける予定のRTX2080Ti HOF 10th AEの重量も計ってみました。
結果は約1.8kg。
RTX2080Ti HOF 10th AEはRTX2080Tiの中でもかなり重い方です。
Bitspower Lotan VGA water block for GALAX Geforce RTX 2080 Ti HOFはほぼグラフィックボード一個分の重さという事に。

まだ本格水冷は組みませんがサイズ感の確認だけしておきたいのでRTX2080Ti HOF 10th AEをバラしました。
バラすとはいえこの画像の状態にするのはネジ6本外すだけなので楽チンです。
グリスは熱伝導率が高いのに柔らかくて塗りやすいオーバークロッカー向けのCPUグリス「SMZ-01R」通称ネコグリスに塗り替え済みです。
追加注文届いタァ!#ネコグリス#SMZ01R pic.twitter.com/TzFlejeMed
— しーつん (@ctunnd) January 19, 2020
かなり気に入ったので大容量(10g)タイプを追加注文しちゃいました。
柔らかくて薄塗りし易くて非導電性なのでGPUにも持って来いですね~。おすすめです。

RTX2080Ti HOF 10th AEのごっついファン&ヒートシンク部の重量も測定してみました。
結果は約1.1kg。
重すぎワロタ。
最後にRTX2080Ti HOF 10th AEの基板部分とBitspower Lotan VGA water block for GALAX Geforce RTX 2080 Ti HOFを並べてサイズ感やサーマルパッドの位置やネジ穴位置を確認。
写真はRTX2080Ti HOF 10th AEのバックパネルを外していないので基板上に薄いヒートシンク(?)が残っていますが実際Bitspower Lotan VGA water block for GALAX Geforce RTX 2080 Ti HOFを取り付ける時にはバラす必要がありそうです。
目視になりますが全く問題無さそうでした。やはりRTX2080TiのHOFシリーズのオリジナル基板はほぼ同一(全く同一?)と考えて問題無さそうです。ただ同シリーズには補助電源コネクタが横に配置されている物もあるのでそれも基板が同一なのかは私には分かりません。

Bitspower Lotan VGA water block for GALAX Geforce RTX 2080 Ti HOFは袋に入れて箱に戻しておきました。
折角の高級感がマスキングテープで台無しです。
何はともあれ問題無く装着できそうで良かったです。
あー早く組み込みたい。
おまけ

RTX2080Ti HOF 10th AEをバラしたついでに付け外しに邪魔だったファンブーストボタンを取り外しておきました。
垂直ブラケットで縦置きしてた時は全く気にならなかったのですが、マザーボードに直刺しでマザーボードのPCIeスロット周りがヒートシンクで囲われているタイプだとこのファンブーストボタンがグラフィックボード付け外しの際にめちゃくちゃケースと干渉して邪魔だったんですよね。
ファンブーストすると当たり前ですがファンがフル回転して爆音なので私は使いません。水冷化したらそもそもファン自体無くなるし邪魔なのでさよならです。

取り外したまま起動したら常時ファンブースト状態になりました。
なるほどね。
しばらくはぶら下げておく事にします。
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